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自転車選手小森亮平のブログです

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ご報告

皆様にご報告です。今年いっぱいで5年間所属させてもらったマトリックスパワータグを離れることになりました。良いチームメイトとスタッフに恵まれ、国内外様々なレースを走り、国内では昨年までの4年間はJBCFのチーム総合とチームメイトの個人総合優勝を支えることができたり、僕自身も勝つ機会を持たせてもらったり、そしてホビーライダーが参加してくれているイベントのお仕事と、とても良い経験をたくさんさせてもらいました。しかしながら、最近はチームとは別のところで個人でやりたいことが増えてきており、ロードレースチームであるマトリックスパワータグでの活動との両立が困難との判断を致しました。学生時代にプロの自転車選手を志し、高校を卒業しフランスへ渡り、その数年後からは何度か移籍はしながらですが、ロードレースのプロの自転車選手として所属チームと契約させてもらっていました。そして今、まだ走れる今だからこそ次のステップに進むタイミングが来たと思っています。新しい世界にチャレンジしていきたいと思っています。来年の活動についてはまた改めて報告させて頂くつもりです。年末までは色々な場所でチームの一員として見て頂く機会もありますので、会場でお会いしましょう!

コーチの勉強を始めた話

みなさんご無沙汰しています。久しぶりにブログを書きます。特に何か大きな結論に達したとか、広めたい情報があるとかそういう訳ではないのですが、最近ちょっとやっていることをお話ししたいと思います。この話を始める前に僕の自転車競技の経歴を少し。僕は日本の学校の部活での自転車競技を経験していません。中学生の頃からMTBで走り回り、高校生の時に学校とは関係のない地元のショップのクラブチームに所属させてもらいロードレースにも出始めましたが、周りに同年代の選手もいなかったので基本的には1人で練習していました。全日本等の全国大会で何度か入賞はしたりしていましたが、インターハイ等には出たこともなくナショナルチームにも参加したことはありませんでした。唯一と言っていいのは福島晋一さんが作ったBonneChanceというチームに所属させてもらっていたくらいでしょうか。そして、高校卒業後は海外に渡り、そこでようやく本格的な選手の育成の仕組みを体験しました。自転車レースを本格的に始めた時に最初に所属する地域のクラブチームや、プロへの登竜門的クラブチーム、その国の有望な若手がたくさん所属するコンチネンタルチームに所属し、身をもって選手の強化とは何かを体験して、そこにはもちろんコーチの姿もありました。そのころは、自分自身が強くなることに必死で、仕組み自体に興味を持つことはほとんどありませんでしたが、今思えば、伝統的な自転車先進国であるフランスや、選手強化を地道に続けてヨーロッパの国々に追いついたアメリカのようなところで経験を積めたのは、非常に恵まれていたと思います。コーチングの内容は多岐に渡り、コーチによって細かい部分は違いますが、基本的に似たようなことをやっていたと思います。中高生までのレベルでは、体力的に追い込むよりもなによりもまずは楽しみながらバイクコントロールを身につける練習、そしてバイクフィッティング、トレーニングの指標になるフィジカルテスト、具体的なトレーニングメニューの提供、さらには実際に選手と走りながら指導、等です。そしてそんな環境で育った高卒の僕ですが、ひょんなことから立命館大学のコーチを引き受けることとなり、(高卒なのに!)生まれて初めて日本の学生の「部活」に触れる機会が訪れました。そして、そこに関わっていくなかで、当然立命館の一校だけではなく、他大学の様子もこれまで以上に知ることができましたが、そこでは驚きの連続でした。まずなによりも、自転車に乗るのが下手な人の多さです。僕も自転車に乗るのはそんなに上手だとは思っていませんが、速く走る以前の問題でとにかく落車が多い。大学生といえば年齢的には多くの選手はU23カテゴリーですが、レースの戦略やペース配分、集団走行の技術がジュニア以下な子の割合がかなり高い印象を受けました。機材は非常に良いものを使っているのですが、扱いが雑だったり間違った使い方をして壊してしまうよーと心配することも多いです。それなのにパワーメーターを使ったトレーニング、例えばFTPとかTSSだったりそういう単語、に関しては妙に詳しかったりする。でもその理論もものすごく偏っていて、もっとやるべき基礎的な部分がすっかり抜けていたりします。もちろんちゃんとした子も居ますし、以前より圧倒的にトップの方のレベルは上がっていると思いますが、圧倒的に上記のような子が多いと思います。学連の登録者数を見るに、日本国内のジュニアやU23の育成の主たる場所は間違いなく部活ではないかと思っていますが、「これは、何かがおかしい、僕が経験してきたものと全く違う」という印象を受けました。そこで、もともとコーチという役割に興味を持っていたのですが、その気持ちがさらに高まったので、将来的にも役に立つかもしれないなと勉強を始めることにしました。僕自身もう10年以上自転車競技をすることでご飯を食べてきましたので、競技の経験はそれなりにある方だと思っています。しかし、人に教えるとなると話は別です。誰もが全日本で勝ったりプロレベルで走れる人ではありません。自転車を始めたばかりの子、レースが完走すら難しい子、そこそこ走れそうなのに落車ばかり繰り返す子、社会人で時間はないし年齢も重ねてきたけどレースを目標に頑張っている人、いろいろな人にどう接すべきか、そして今のトレーニング理論はどうなっているのか、これを機会に少し体系的に勉強してみようと思いました。がしかし、ここで問題が。国内の車連に問い合わせると、そんな学べる制度はないと。スポーツ協会のコーチ資格もありましたが、それもどちらかといえば例えば国体の引率等に必要な資格といった印象で、自転車のコーチングの勉強とはまた違ったものだと感じました。(間違っていたらすみません)なので、こういう資格は、「資格がないと参加できないとか何かしら必要になった時に取ればいいか」ということで、別の方向を模索することに。現役で選手をやりながらなので、時間的にも金銭的にも現実的な範囲で色々と探っていましたが、けっきょく自転車競技の分野で日本よりも進んでいる国の制度を利用した方が良いんじゃないかとの結論に達しました。詳細は話せませんが、海外の自転車のコーチの資格がローレベルなものであれば取得させてもらえるという話になり、そのプログラムに参加することにしました。そこでは、テストや簡単な授業も全てオンラインで自由な時間設定でできるので、今の自分にはもってこいでしたし、コーチになればアクセスできる情報も増えるようです。ちなみに一番緊張したのは、全てのテストに合格した後、ライセンスを発行する前に行うバックグラウンドチェック(犯罪履歴とかないかどうかをチェックする)でした笑いや、やましいことは何もないんですけど、こういうのが一番緊張します。というわけでライセンスは無事に取得して、いよいよ勉強がスタートしました。もうかれこれ数ヶ月は毎日ちょっとずつ時間を作って勉強していて、これからその知識をちょっとずつ役立てていければ良いなと思っています。まずは実験台として自分で自分をコーチングして強くなれたら面白いですね笑いつになるか分からないですが、もっとちゃんと勉強して実務の経験も積んでいって、少しでも自転車競技を楽しむ人の役に立てたら良いですね。

Coupe du Japon 京都ゆぶね

全日本XCOを終えた翌週に迎えたCoupe du Japonの最終戦京都ゆぶね。今年は各地でレースが重なりこのレースの参加者が少なくなっていたので、走りやすいかなと思っていました。試走もしっかり行い、レースに備えます。コーチをやらせてもらっている立命館大学から高本が出場するのでスタッフ陣と、コンディショニングのためにこのレースはスキップすることにした同じく立命監督の悠がサポートに来てくれて、彼らと一緒に動かせてもらいました。レース当日は自宅でゆっくり準備をして2時間半前くらいに会場入り。タイヤは2.35に空気圧は前後1.3bar。テクニック練習も兼ねて最近はノブが低くグリップ低めなタイヤをあえて使っています。常に気を遣わないといけませんが、そのぶん滑りに対する感度が高くなってきていて良い感じです。サスや全体のセッティングも、今この時点で走りやすいということではなく今後を見据えて調整しました。スタートは3列目でしたが、とりあえずダッシュで良い感じにスタート。いつもスタートで前に上がれてる気がしますがMTBレースのスタートはロードやシクロクロスに比べるとスピード感が遅いので対応しやすいような気がします。参戦数が少なくて元々のランキングがあまり高くないのも影響していると思いますが。。というわけで、あぁいい感じと思っていた最初の下りのドロップオフ&ジャンプセクション。勢い余って吹っ飛びました。肩から背中を打ち付け、サングラスもどこかへ消え、後ろの選手にも迷惑をかけ、、、ごめんなさい。スタートして間もないので、次から次に選手が来ます。かなりスピードの出る場所なので邪魔にならないように端へよってタイミングをみてリスタート。

全日本づくしのシーズン終盤

👆📷アイラン10月末に広島で行われた全日本ロードを13位という順位で終えてしまい、少し残念な気持ちはありましたが、レースは続きますということで3日間ほどしっかり休んだ後は、気持ちを切り替えて2週間後の全日本MTBのXCEとXCC、その次はマトリックスのチームイベント「スズカエンデューロ」で翌週は全日本MTBのXCO、そのまた翌週はMTBの国内シリーズ戦Coupe du Japonの最終戦が京都ゆぶねで行われました。これからすぐ全日本シクロクロスも控えています。こんな全日本が集中して続くことなんて今後もう無いんでしょうね。。。詳しい参戦スケジュールはカレンダーのページをご覧いただきたいのですが、そんな感じで毎週のように楽しませてもらう予定だったのです。しかしながら、全日本ロードが終わった後、次のレースに向けて準備しようと思った矢先、トレーニング中に怪我をしてしまい、10日間ほどは練習ができなくなってしまいました。うち5日間ほどは日常生活もギリギリの状態。その怪我の影響か体調までも崩してしまい、ギリギリまで体と相談した結果、全日本MTB XCE/XCCの出場は断念せざるを得なくなり。サポートしていただいている皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいですが、肝心の身体が動かないことにはどうしようもなく。長いロードシーズンを走っていたら知らない間に疲れが溜まっていたのかなと思います。スズカロードの方はyoutubeの動画を見てもらうとして

逃げの戦略 その3

予想以上に長くなってしまいましたが、これが今回の群馬編の最後です。必死になって作った逃げができたら次は何を考える逃げ集団ができて、すぐに先頭と後方のタイム差は4分を超えました。さて、ここでいったん逆の立場に立って、4分差をひっくり返すにはどうしたらいいか考えます。例えば、平均速度40km/hで走る先頭集団があると仮定すると、(群馬だとレース全体の平均速度がこれくらいな気がします)距離10kmを走るには、15分かかります。前に追いつくためには、後ろの人はもっと速く走らないといけません。43km/hで走れば、10kmは約13分57秒かかります。ということは、この場合、4分差を詰めるためには距離にして約40kmも必要な計算になります。つまり1分で10km必要。この計算は今この文章を書きながら何となく計算しただけですが、この時も実際のタイム差の変遷を見ながらざっくり頭の中で計算して、逃げ切りがかなり濃厚と判断しました。仮に後ろの集団が強烈なペースアップをしたとしても、力を温存しているチームメイトもまだいます。さて、ここで僕は4分差というのはかなり大きな差なので、ここで無理してさらに差を広げようとするよりも、体力を温存してレース後半に備えようと考えます。なにせ4分の「貯金」があるわけですから、残りの距離はその貯金を食い潰しながら逃げ切れば良いのです。無理にペースを上限で維持して最後に燃え尽きてしまうよりも、後半にペースアップできる余地を残しながら走ります。一緒に逃げているメンバーの力をうまく使いながら、後ろとの差をキープするよう努めます。そして、強い選手を複数送り込むことに成功して明らかに有利な布陣のマトリックスに対して、このままで逃げ切られたらマズいと思ったチームがようやく後ろの集団のペースを上げます。ここで4分が3分50秒となり3分40秒となり徐々に縮んできます。それを見た僕たち先頭集団はペースアップします。後ろの様子を確認しながらそれに呼応するようにペースをコントロールします。後ろが速く走れば速く走り、遅くなれば少しペースを落とし、そうやってミニマムな体力消費で「貯金」の4分を少しづつ食い潰しながら差を保とうとします。